ヤンキー君と異世界に行く。【完】
「……まあ、証明のしようがない仮説なので、真偽のほどはわかりませんが。
あの長老がランドミルの自然に反するやり方に疑問を感じ、謀反を起こしたのは、僕の祖父母が原因のひとつでもあったのでしょう」
カミーユが静かに言う。
「それに責任を感じて……祖父母は自ら命を絶ちました」
「え……っ!」
「もともと彼らも、疑問を感じながらの研究でしたから。
産まれてくる命を、人の手で選別してもいいものなのかと」
そんな。
多くの命を犠牲にしたからと言って、自分たちまで……。
仁菜の胸に、重いものがのしかかる。
「そして残された父は母と結婚し、二人で祖父母の研究を受け継ぎました。
彼らの無念を晴らしたかったんでしょうね。
しかし、結果は同じだった。
彼らは多くの死亡した胎児たちを前に、また自ら命を絶ってしまったんです。
僕が10歳のときでした」