ヤンキー君と異世界に行く。【完】
カミーユは、ひとりっこだった。
両親は、『女神』を使わず、自然な方法で、カミーユを授かった。
女児でなくても、彼らはカミーユを大切に大切に育ててくれた。
「両親について、研究所の中を駆け回る毎日でした」
いつか自分も両親の役に立つのだと、カミーユは必死に勉強した。
すればするほど、両親が喜んでくれた。
しかし、そんななごやかな生活を送っていたある日。
『カミーユ、お前は無理に「女神」の研究をしなくていいんだからな。
大きくなったら、自分の好きなことをやれよ』
父親が、そんなことを言った。
カミーユは素直にうなずいた。
まだ、自分がどの道に進みたいのか、はっきりしていなかったから。
そして、『女神』の研究は両親に任せておけば、きっとそのうちうまくいくはず。
自分に残される課題なんて、ないんじゃないかな。
そう思っていたから。
大好きな、お父さんとお母さん。
ずっと、元気でいてほしかった。
「でも、両親は翌日、逝ってしまいました」
同じ研究所の職員から連絡をもらい、カミーユが病院へ駆け付けたときには、もう何もかもが終わっていた。