ヤンキー君と異世界に行く。【完】


「でもね、しばらくはずっと一人でした。

両親に置いていかれた、裏切られたんだという思いが強かったんです。

だから、他人を信用することが、なかなかできなくて……同情されるのも嫌で、一人で勉強ばかりしていました」


それだけが、心を慰めてくれた。


いつか、両親を超える、国の役に立つ研究をすれば、みんなが認めてくれる。


僕の価値を。


そうすれば、きっと僕は幸せになれる。


そう信じて。


「結局は、器用貧乏になっちゃったんですけどね。

手広くやりすぎたせいで、とんでもない量の雑用をわんさかと押し付けられるようになってしまって」


カミーユは笑いながらシリウスを見たけど、誰も一緒に笑えなかった。


仁菜は言葉を失う。


あまりに壮絶な事情で、想像もつかなかった。


「ああ、すみません。

そんな顔をさせたかったわけじゃないんです。

ただキミたちも仲間だから、ちゃんと説明しておこうと思って」


カミーユがニーナの頭とハヤテの頭を、交互になでる。


(そうか……。

だからカミーユさんは、研究のことをあまり話したくなかったんだね)


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