ヤンキー君と異世界に行く。【完】
「ニーナ……」
もう少し……もう少しがんばって、全部丸くおさまったら。
その時仁菜は、自分の話も聞いてくれるだろうか。
その時彼女がどんな顔をするか想像しながら、ラスはつぶやく。
「俺がキレイなのはね、この体が作り物……人間の模造品だからだよ」
ぼそりと囁くけど、仁菜は起きない。
安らかな寝顔を、こちらに向けていた。
ラスはほっとすると、彼女の肩に布団をかける。
多分、次の出発まで何日もないだろう。
それまでは、安らかな気持ちでいてほしい。
ラスはそっと仁菜から離れると、窓際に立った。
空を見上げても天気のせいか、空気が汚れているせいか、星はあまり見えなかった。