ヤンキー君と異世界に行く。【完】
のぞきこむと、座っていた颯はカミーユの白衣をつかんで、顔を押し付けた。
そこへ、アレクも入ってきた。
「どうした、ハヤテ。気分でも悪いのか?」
「アレク……」
「見事だったぞ、ハヤテ。
だけどあまり、ムリをするな」
カミーユと同じことをいうアレクに、颯は苦笑する。
「……いいんだ。あんたたちだけでも、本当は俺がむちゃくちゃ弱いってことをわかっていてくれれば……俺はどんなムリだって、できる。これからも……」
ぎゅ、と白衣をつかむ颯の手を、アレクが包む。
強気かと思えば、突然危うい表情を見せる。
彼は彼で、何かと戦っている……。
二人は、今まで見たこともない不安定な表情の颯を、黙って支えた。
地下からはわからなかったが、研究室の外では日が傾きはじめていた。