ヤンキー君と異世界に行く。【完】
あなたのためなら、私はどんな汚名を着せられたって構わない。
どんな嘘でもつこう。
それがあなたの心を深く傷つけたとしても。
私は、あなたを守るためなら、何をするのもいとわない。
だって、あなたは……私に、生きる希望をくれたのだから。
遠くなっていく意識の中で、シリウスは笑った。
うまくいった。
彼らは、逃げた。
うまくいったのだ。
早く、もっともっと遠くへ……。
そしてきっとあなたは、国を救う英雄として帰還するだろう。
その姿は、もう見られないかもしれないけれど。
それでも、私はこの生涯になんの悔いもない。
シリウスは口の端を上げたまま王妃をにらみつけた。