ヤンキー君と異世界に行く。【完】
「…………」
操縦室では、重い沈黙が立ち込めていた。
ラスはふさぎこんだままだし、カミーユはそんな彼にかける言葉が見つからない。
こんなときに頼りになりそうな颯は、まぶたを閉じて仮眠をとっている。
「……ねえ、カミーユ。
シリウス、今頃どうしてるのかな」
鋭い視線を背後から感じ、カミーユはぎくりとする。
あの日、日が落ちる瞬間まで、全員が準備に追われていて、シリウスを探して説得することができなかった。
誰もシリウスの真意を知られなかったのが、ラスは心残りらしい。。
「そ、そうですね……なにか、動きがありましたかね……」
彼はタブレットを取り出し、スタート画面を開く。
カミーユはためいきをつき、シリウスの動きの手がかりとなるものがないかと、ランドミルの国政通信に、アクセスする。
「……!?」
そのトップにあった記事の言葉を目にして、カミーユは思わず息を飲む。
そして、ラスに見られないようにタブレットの電源を、そっと落とそうとしたときだった。
「見せて!」
「あっ!」
後ろからこっそり近づいていたラスに、あっさりタブレットが奪われてしまった。
急いでイスから立ち上がったときには、もう遅かった。
ラスはタブレットの画面に見入り、硬直していた。