ヤンキー君と異世界に行く。【完】
「うん……ありがとう」
ラスはそっと微笑む。
そしてふわりと、仁菜の肩にマントをかけた。
夜の砂漠は寒いということに、いまさら気づいた仁菜だった。
ラスの体がぴたりとくっついて、どきりと胸が高鳴る。
大人びたアクアマリンの瞳が、仁菜を見つめた。
「ニーナ……じゃあ、聞いて欲しいことがあるんだけど、いい?」
「う、うん!なんでも聞くよ!」
ラスの力になりたいんだから、ドキドキしてる暇なんかない。
仁菜はそう自分に言い聞かせて、ラスの声に耳をすませる。
それは、仁菜の予想をはるかに超える、過去の傷だった。
「俺ね……じつは、『女神』から産まれたんだ」