ヤンキー君と異世界に行く。【完】
・告白
次の朝から、一行は徒歩で境界の川へ向かうことに。
それぞれ武器や食料を小さなバッグに入れ、灼熱の砂漠を歩く。
仁菜はいままでの旅の経験を生かし、制服を着ていくのはやめた。
代わりに、ラスの服を貸してもらっている。
背丈が同じくらいだから、サイズはぴったり。
(だけど、胸が……)
少しきつくて、ボタンとボタンの間に空間ができてしまう。
そこからブラがちらちら見えてしまうのは恥ずかしい。
しょうがなく仁菜は首の部分を大きく開け、ストールを巻いて胸元を隠した。
「大丈夫?」
はぁはぁ言いながら汗だくでなんとか歩いていると、ラスが声をかけてくる。
すると昨夜のことを思い出し、余計に体が熱くなった。
「だ、大丈夫!」
「そう?顔が赤いけど……熱はないよね?」
そう言って、自らの額を、仁菜の額にぴったりとくっつけるラス。
その途端、体中の熱が上がったような気がした。
「あれ?ちょっと熱い?」
「そ、そう?」
額を離して心配そうにのぞきこむラスに、「あなたのせいです!」とは言えない。
「ニーナ、また俺がおぶろうか」
背後から、アレクがぬっと出てきた。
ちなみにカミーユは先頭で、一行を導いている。ハヤテは最後尾。
「い、いえ、大丈夫です」
今は仲間だけじゃなくて砂漠の民も見ているし、自分だけ楽をするのは気が引ける。
それに、熱が上がったようになってしまったのはラスのせいで、病気なわけじゃない。