ヤンキー君と異世界に行く。【完】
結局砂漠の民は仁菜とラスを信じ、ランドミルへ向かうことに同意した。
「では……絶対無事に帰ってきてくださいね、みなさん」
カミーユが努めて明るく言うと、ラスが彼に抱きついた。
「大丈夫。絶対三人で帰るからね」
カミーユを離すと、次はアレクに。
「お前たちも、絶対に無事でいてね。
帰ってきて国が全滅していたら、承知しないから」
ぎゅっとアレクに抱きつくラス。
(ちょ、なんでこんな緊急事態まで可愛いの?)
ひそかに萌えていると、カミーユとアレクは仁菜に近づく。
仁菜は慣れていないのでぎこちなかったけれど、彼らと順番にハグをした。
「気をつけてくださいね」
「はい。カミーユさんと、アレクさんも」
「ああ。必ずまた会おう」
すぐにあっさりとは別れがたくて、つないだ手を離すのに時間がかかった。
彼らは何度もこちらを振り返りながら、軍艦に乗り込み、ランドミルへと出発した。