ヤンキー君と異世界に行く。【完】


「うん、あの川にバイクごと突っ込んだ」

「……ええっ!?」


そんな無茶な。
ちゃんと来られたから良かったものの。


あ然とする仁菜に、颯は説明する。


「とりあえず飛び込もうかと思ったら、こいつがいきなり目の前に現れたんだ」


颯の指には、精霊族からもらった黒い石のついた指輪があった。


石が光を放つと、その中から象牙でできたような柄も刃も真っ白な剣が現れた。


「それは、楔の聖剣!?」


傍観していたラスが乗り出す。


「やっぱりそうなのか?

なんかわかんねーけど、川に飛び込む寸前でこれが出てきて、『バイクに乗せて連れていけ』って言ったような気がしてさ。

一応収納して、バイクもろとも川に飛び込んだら、一回気失って。

気づいたら、こっちに来てた。

川から吐き出されるみたいにバイクが浮かび上がって、ビビったけど、そのおかげでニーナを助けられた。

たぶん全部、こいつのおかげだと思う」


……おバカの説明は、わかりづらい。


3人は聞きながら、そう思った。


とにかく、原因はわからないけれど、川に飛び込もうとした颯の目の前に突然楔の聖剣が現れた。


そして、颯を無事に送り届けてくれたということだろう。


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