ヤンキー君と異世界に行く。【完】
3日前、仁菜たちは魔界からランドミルに帰ってきた。
その姿を見つけ、カミーユとアレクが駆け寄ってくる。
二人とも傷だらけで、そこらじゅうに包帯や絆創膏がしてあった。
「みんな、よく無事だったな!」
アレクは珍しく満面の笑みで、ニーナとハヤテを同時に抱きしめた。
「僕たちがランドミルについたときは、もう魔族の攻撃が始まっていまして……いやあ、ひどい有様でしたよ。
でもなんとかもちこたえました」
カミーユはお疲れ様です、とラスとシリウスをねぎらう。
「しばらくすると、突然魔族が攻撃をやめて魔界へ帰って行ったんだが、いったい何があったんだ?」
アレクの質問に、仁菜たちは颯が元の世界から帰ってきたこと、魔界であったことを説明した。
「ということは、風の樹の実は手に入らなかったわけですね」
「しかし、神の涙は持ち帰ってきたと。すばらしい!」
ラスたちは早速、王の元へ。
智慧の塔こそ壊されはしなかったが、多くの建物が破壊され、大ダメージを受けたランドミルにとって、神の涙は唯一の希望となった。
王はラスの功績を喜んで認め、シリウスの烙印を魔法で消した。
王妃や兄弟たちも、今回ばかりはそれ以上口出しできないようだった。