ヤンキー君と異世界に行く。【完】
そんなわけで、異世界から来た救世主と王子を国民に見せつけるため、王がこのセレモニーを計画したのである。
国民たちの前で神の涙を使い、大地を再生させろと言われた仁菜。
直前まで逃げ回っていたが、結局取り押さえられた。
(どうせなら、一人で集中させてよ。
こんな大勢の前で失敗したら、あたしどうなっちゃうんだろう……)
結局、仲間たちがそばについていてくれると言うから、仕方なく来たけれど。
城下を見れば、ランドミルの国民や王族、砂漠の民たちがものすっごーく期待した目でこちらを見ている。
「異世界の少女よ。
そろそろ、奇跡を見せてくれぬか」
ラスの父……つまり王様に言われ、仁菜はビビる。
「大丈夫、なんとかなるよ。
精霊の盾だって、なんとなくで操ってたじゃない」
ラスがのんきに笑っている。
「大丈夫だ。なんとかなる」
「さっさとしろ。王をお待たせするな」
アレクとシリウスは、さらに無責任発言。
(ええい、ままよ)
どうせまごまごしていたって、いつまでたってもこの場から解放されない。
ならば、ダメもとでやってみるしかない。