ヤンキー君と異世界に行く。【完】
全員が、そのまぶしさに一度目を閉じる。
しかし、すぐに異変に気づき、目を開けたときには……。
「わあ……!」
神の涙から降り注ぐ光は、黄金色の雨となっていた。
ランドミル上空から遠い精霊の谷まで、白い雲が覆い、水滴が一気に落ちてきた。
もともと出ていた太陽に反射した黄金の雨は、白骨のようなランドミルの城下町に、そして何もない砂漠に、次々に虹をかける。
「おお、なんだこりゃ。すげーな!」
この旅で濡れてばかりの颯が、明るい声で言う。
「ああ、私だ。カミーユ、そちらはどうだ?」
背後にいたシリウスが、スマホのような機械に耳を当てている。
仁菜がそちらを見ると、シリウスは薄く笑い、そのディスプレイを仁菜たちに向けた。
すると、そこには……
砂漠の上に、ぽつりと浮かぶ緑が映し出されていた。
シリウスが操作すると、それは立体映像となる。
小さな小さな緑の芽が、みるみるうちにふくらみ、葉をのばし、つぼみをつける。
まるで理科の時間の早送り映像みたいだと仁菜が思っていると、そのつぼみがそっと開いた。
「きれい……」
思わずつぶやく。
咲いたのは、ちょうど仁菜のドレスのような、薄いブルーの花弁を付けた、小さな花だった。