ヤンキー君と異世界に行く。【完】
『すごいです!
砂漠のあちこちに、芽が出ています!
というか、砂漠の砂自体の性質が変わっているようで……ああ、なんて素敵なんでしょう!
素敵すぎて、うまく説明できません!』
興奮したカミーユの声が聞こえてくる。
「あいつ……今度は植物博士になりそうだな」
アレクの言葉に、仲間たちは吹きだした。
「ありがとう、ニーナ」
ラスは濡れたままの手で、仁菜の手を握る。
輝く金髪が濡れて、ますますキラキラして見えた。
「ニーナのおかげだ。
これで、きっとこの国……ううん、人間界全体が救われるよ」
「ええ……あたし、何もしてないよ。
神の涙がしてくれてるだけで……」
「そんなことない。
ニーナは自分が気づいてないだけで、とってもすごいんだから!」
ぎゅっと仁菜を抱き寄せたラス。
その手をつねるのは、やはり颯だ。
「コラ、触るな!」
「えー。いいじゃん、ケチ」
「ダメだ!お前はシリウスに抱きついとけ!」
無理やり仁菜からはがされたラスは、「そっか、じゃあそうしよ」と、シリウスの腕に抱きついた。
そこで納得しちゃうのもどうなのよ。
仁菜は心の中でツッコみながら、苦笑した。