ヤンキー君と異世界に行く。【完】
・XXX
次の日、仁菜と颯は同じ部屋でぼんやりしていた。
ランドミルの祝宴は一晩中続き、ラスが二日酔いでつぶれてしまったため、帰る日を一日遅らせたのだ。
ちなみにこの世界での未成年飲酒は、15歳から合法である。
二人も祝宴に参加はしたが、酒は自粛し、料理を少し食べただけで終ってしまった。
ランドミルの国民が、自分たちを神様扱いするせいで、どうにも居心地が悪かったから。
そこでいい気になってふんぞり返るかと思った颯は、意外にすぐに仁菜と一緒に引っ込んでしまった。
「あいつらはラスの国民であって、俺がふんぞり返るのはチームの奴らの前だけでいい」
そんなわけのわからないことを言っていた。
でも、そんな颯に仁菜は満足していた。
もしいい気になって、この世界に残るなんて言ったら、仁菜は颯のことを見損なったかもしれないと思う。
「さあ……いよいよ明日、帰るんだな」
「うん……そうだね」
颯が元の世界に帰った時の情報から推測すると、こっちに来てから、元の世界では軽く3週間近く経ってしまっていると思われる。
戻るなら早く戻らないと、出席日数がヤバい。
颯は留年したってどうってことないだろうけど、仁菜は困る。
それはもう、めちゃくちゃ困る。