ヤンキー君と異世界に行く。【完】
「ニーナ、ハヤテ……」
最後に二人の前に出たのは、ラスだった。
「……きっと、いい王様になってね、ラス」
仁菜が言うと、ラスはふわりと微笑む。
「うん。突然巻き込んだのに最後までつきあってくれて、本当にありがとう。
ニーナも、ハヤテも」
ラスは二人の手を、同時ににぎる。
「ニーナたちがいなかったら、人間界は本気で終ってたかもしれない。
自分に直接関係ないのに、一生懸命になってくれたね。
そんなニーナたちが、俺は大好きだよ。
絶対忘れない」
「ラス……俺も忘れないぞ、お前がニーナにキスしたこと」
「ぷっ……なんだよ颯、まだそんなこと言ってんのかー」
二人は顔を見合わせて笑う。
一時は三角関係になってしまってどうしようと思ったけど、今は二人の間にわだかまりは残っていないようだ。
「ニーナが俺の花嫁になってくれないのはすごく心残りだし、二度と会えないのはものすごく寂しい」
「ラス……」
「ニーナ、もし良かったら覚えていてね。俺たちのこと」
ラスは颯のすきをつき、ニーナの額に優しくキスを落とした。
「きみが、この先も、ずっとずっと幸せでありますように。
異世界から愛をこめて、毎日祈るからね」
微笑んだラスの顔を見たら、仁菜の胸に何かがぐっとこみ上げてきた。