ヤンキー君と異世界に行く。【完】
「じゃあな!
みんな、元気でいろよー!」
バイクにまたがり、颯が言う。
仁菜はその後ろで、颯の体にしっかりとくっついた。
「ハヤテたちもな!」
「ハヤテ、しっかりお勉強もするんですよー!」
「余計なお世話だ!」
仁菜はぷっと吹き出す。
いつの間にか涙は止まっていた。
「ハヤテ、ニーナを泣かせたら承知しないからね!
絶対幸せにしてよ!」
ラスが明るく手を振る。
「おう!わかってるって!」
「ニーナ!もしハヤテと別れたくなったら、楔の聖剣引っこ抜いてこっち来てもいいからね!」
そんなこと、いったいどうやって。
仁菜は笑いながら、あいまいにうなずいた。
「では……気をつけてな」
シリウスがラスにいつものように寄り添う。
「おう!」
颯が、バイクのエンジンをかけた。
地の裂け目から、前輪が離れる。
そのまま、川へと落下していく。
その途中で、仁菜は意識を失った。
さようなら、異世界。
さようなら、大好きなひとたち。
あたしはあなたたちを、絶対忘れないよ。