ヤンキー君と異世界に行く。【完】


(暇なひとたち)


華麗にスルーして教室を出ようとした仁菜。


すると、仁菜が無反応だったのがおもしろくなかったのか、一人の女子が、わざと大きな声で言った。


「きっと水沢さんの後ろにくっついてるやつもさあ、程度の低い男と遊んでるんじゃないの?」


由紀の体が、大げさにびくりと震えた。


可愛い友人は、この手の悪意に慣れていないのだ。


仁菜はぴたりと足を止め、女子グループの方をまっすぐににらみつけた。


「……もう一回言ってみてよ」


仁菜はつかつかとそちらに近寄る。


すると彼女たちは団体でいることで気が大きくなっているのか、暴言を繰り返す。


「あんたみたいなアバズレ、帰ってこなきゃよかったのよ。

クラスの雰囲気が悪くなる」


今時「アバズレ」って。


「その金魚のフンも目障りなのよ。

いつもオドオドビクビクしちゃって、男子と話すときは声色変えてさ」


それはただ、由紀が極度の緊張しいなだけ。


「……あんたたち、恥ずかしくないの?

それって、ただの非リア充のひがみじゃない。

由紀が可愛いから、ねたんでるんでしょ」


彼女たちが何か反論しようと、口を開いたときだった。


< 421 / 429 >

この作品をシェア

pagetop