ヤンキー君と異世界に行く。【完】
──バアン!
仁菜が、彼女たちの前にあった机をたたきつけた。
大きな音に驚いて、女子グループは一瞬黙る。
「群れて人の陰口叩いて、楽しいの?くだらない。
人に合わせるだけで、自分を変える冒険すらしたことのないような臆病者が、他人のことガタガタ言ってんじゃないよ。
まず自分の顔を鏡で見てみたら?
ものすごーく醜悪な顔してるから」
一息に言ってやると、その迫力に押された女子たちは、自分のほっぺたをなでた。
どんなに見た目を飾ったって、人のあら捜しをしてばかりの表情は、何より醜い。
「あんた、あんたみたいな、工業の男と遊んでるような子に、なんでそんなこと言われなきゃいけないの?」
やっと言い返してきた言葉に、仁菜ははっきりと返す。
「あたしの友達を侮辱したからだよ。
他人を傷つけるなら、倍返しされる覚悟でしなよね」
「な……っ」
「それに、あんたたちが言ってる工業の男ってのは、あたしの彼氏だよ。
遊んでるんじゃない。本気で付き合ってるの」
後ろを振り返ると、由紀があんぐりと口を開けていた。
ごめん。隠してたわけじゃないの。
「由紀はびっくりして、今みたいにぷるぷる震えちゃうんじゃないかと思って、なかなか言えなかったんだ」
にこりと笑うと、仁菜は女子グループに向き直る。