ヤンキー君と異世界に行く。【完】
ああ……
あたたかい。
安心するなあ。
もう歩けないとだだをこねた日は、いつもこうしておぶってくれた。
鍵っ子で、両親が帰ってくるまでひとりだったあたしを、よく公園や、川に誘ってくれた。
『見ろよニーナ、すっげーキレイな夕日!』
……キミの声が……こだまする。
『……はや……にい、ちゃ……』
『……ニーナ?』
『…………』
『なんだ、寝ちゃったのか』
うんしょ、と一度おしりが持ち上げられる。
その後、無言で歩きだす、彼の背中……。
今思えば、なんて小さい背中に、大きな荷物を載せていたんだろう。
『……こんなに疲れるまで、ひっぱりまわさないでちょうだい!
夕方寝られると、夜が遅くなって困るのよ!!』
「…………っ!!」