ヤンキー君と異世界に行く。【完】
それに……
「なんだこれは」
精霊族の男は、目をみはった。
颯のポケットから出てきたのは、棒つきの丸いアメ、ガム、チョコなど、お菓子類。
そしてゲーセンの景品らしい、『I LOVE NZ』(ラブはハート)とプリントされた、ヘンな缶バッジ。
「NYじゃなくて、NZ……!?
ニューヨークじゃなくて、ニュージーランド!?」
「珍しいだろー?」
颯はなぜか自慢げ。
「……てか川に流されたのに、よくこんなもん残ってたね……」
「俺のポケットは粘着布テープ付いてるからな。
バイクで走ったとき、中身こぼれないように」
……お前は小さい子供かっ!!
仁菜がツッコむ前に、精霊族の男はソレを拾い、王に差し出した。
セードリク王は、異世界の品々をまじまじと見つめる。
「……たしかに、この世界のものではなさそうだ……」
チョコのにおいをかぐ王に、颯が親切で言う。
「あ、菓子類食うなよ。川に流されたから、きたねーかも」
「食わんわ!」
「あとバッジで指刺すなよ。
そうそう、服につけるんだ……お、似合う似合う!それやるよ!」
仁菜は吹きだしそうなのを、必死にこらえた。
威厳ある精霊族の王が、『I LOVE NZ』の缶バッジを胸につけ、右手にチュッパ○ャップスを持ち、左手にナックルをしている。
(ちょっと……!
ハヤティカルエッセンスで、王がバカに見えるんだけど!!)
仁菜は腹筋がぶるぶる震えるのを、必死で抑えた。