ずっと大好き…この恋は永遠…
初めて聞く存在
「チョコケーキの彼女とは順調にいってるか?」
喫煙室でタバコをふかしながら言った同僚の渡辺に、浅井が苦笑いを浮かべた。
40歳を目前に健康を気にしてか最近変えたタバコは、どうやらあまり好みじゃないらしい。
好きで吸ってるタバコに顔をしかめる渡辺は妙におかしい。
「チョコケーキって…(笑)
名前覚えてるくせにわざとっすか?」
クリスマスのあの出来事をわざと強調する渡辺に、浅井が2本目のタバコに火をつけながら返した。
クリスマスにチョコケーキを持って告白しにきたみのりを追いかけて教習所を飛び出した浅井の行動は
その後、何かと渡辺にからかわれる事になった。
その時はまだ「不倫」という関係だった2人に、渡辺が気を使って周りに黙っていてくれてる手前、浅井も何も言えずにいる。
「佐倉、元気か?
ようやく幸せになれて気が抜けてるんじゃないか?」
「元気ですよ。
仕事が大変みたいで気を抜いてる場合じゃなさげですけどね」
言い直した渡辺に浅井が答えると、渡辺が思い出したように口を開いた。
「そういえば今日からだろ。
南商の生徒がくるの」
渡辺の言葉に、喫煙室に掛かっているヤニで黄ばんだカレンダーに目を移した。
7月21日。
みのりが教習所に来てから…
1年が経とうとしていた。
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