ずっと大好き…この恋は永遠…



「帰る…」


みのりがくるりと背中を向けながら呟いたように言った言葉に、浅井が視線をみのりに移す。


時間は16時半。


本当だったら夜まで一緒にいる予定だった。


「…みのり、ごめん…」


謝らなくちゃならない事がたくさんあるのに、そのどれもこれもが言葉にならなくて…

浅井が言葉を探して黙る。


「うん…」


みのりは浅井と目を合わせないまま小さく頷いた。


だけど、帰り支度をする手を止めようとはしなかった。


「…―――っ」



…―――ガチャ



浅井がみのりに話しかけようと口を開いた時、玄関の開く音がした。


「遼にぃー、上がるよ」


聞こえてきた声に、みのりが慌てて涙を拭く。


「あれ、みのりちゃん来てたんだ〜。

なんか久しぶりだね」


シリアスな雰囲気に気付かずに明るい笑顔で入ってきた金髪頭は、沙紀の弟の悟だった。


美容院で働いている悟は、沙紀との結婚をきっかけにすっかり浅井になついてしまって、離婚した今でも浅井の部屋を訪れる。


そんな悟の登場に、浅井がため息をもらした。


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