ずっと大好き…この恋は永遠…

謝罪




「あ、佐倉!

こないだの南商の先生の定期、抽選券付けなかったろ」


お昼前、職場でみのりを呼んだのは上司。


午前中の殺人的な忙しさからやっと解放されたロビーには穏やかな一時が流れていた。


「あ、そうなんです。

抽選券在庫切れだったんで…本店から届いたんですか?」


上司の手に持たれているオレンジ色の抽選券に、みのりが問い掛けた。


「さっき本店行ってきたから貰ってきたんだ。

せっかく定期してくれたんだから時間がある時に渡してこいよ。

…当たっても米5キロだけどな(笑)」


苦笑いを浮かべる上司に、みのりも笑顔を浮かべて頷く。


1等、お米5キロ
2等、お茶ペット6リットル分
3等、図書券500円


しょぼい抽選券に、職員誰もが苦笑いだった。


5万円毎に1枚つく抽選券を6枚持って、カバンに入れた。


8月30日。

来月から学校が始まる事を考えると、夏休みのうちに渡しておいた方が良さそうに思えて、その日の午後、抜ける許可をもらった。




午後、外に出ると容赦ない日差しがみのりを照りつけた。


もう夏休みも終わるのに、まだまだ夏の日差しは厳しい。


腕が焼けるのを気にしながら運転して南商につくと、グランドから元気のいい掛け声が響いていた。


その声に、暑さで少しだらけていた自分を振るい落とす。


掛け声と一緒になって聞こえてくる吹奏楽部の演奏が、気持ちを軽くさせる。


最近流行った曲は、とても軽快なリズムで足取りまで軽くして流れていく。


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