ずっと大好き…この恋は永遠…



「じゃああたし帰りますね」


春子の事を一通り話してから、みのりが沙紀の病室を出た。


退院のめどの立たない沙紀は気になったが、崇や悟の献身的なお見舞いがある事がわかって少し安心できた。




エレベーターに向かおうと白で統一された廊下を歩いていると、エレベーター前の椅子に座る悠太の姿を見つけた。


自販機前に用意されている椅子は4脚で、その一番左側にうなだれるように座る悠太に、少しだけみのりの胸が跳ねる。


戸惑いながらも悠太に近付き、声をかけた。


「おばさん…よかったね」


みのりの声に、悠太が驚いた表情を上げて…

みのりの姿を確認すると、小さく…本当に微かに笑みを作った。


「みぃ…なんでここにいるんだ?」


「沙紀さんのお見舞でたまたま…」


「あぁ、そっか。

オーナーの奥さんここに入院してんだっけ…」


薄く笑顔は浮かべているのに、悠太の横顔はひどく疲れているように見えて…

その横顔がみのりを苦しくさせる。


「…じゃ」


「すげぇ怖かった…」


帰ろうかと、別れの挨拶を口にしようとしたみのりの声を、悠太が遮った。


みのりの視線の先で、悠太が開いた膝に頭をもたげる。


その姿が、とても小さく映った。


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