ずっと大好き…この恋は永遠…
公衆電話
「お邪魔します…」
誰もいない事を分かっていながらも、一応言ってから部屋に上がった。
住人不在の部屋は、いつもとは違い静まり返っていて、流れる空気も違って感じる。
外の蒸し暑い気温より少し涼しい室内に、みのりが電気をつける。
そしてリビングをぐるっと眺めてから寝室に向かった。
昨日会ったはずなのに、浅井の匂いや体温が恋しくて…
みのりが浅井のベッドにポスンと飛び込んだ。
微かにする浅井の匂いに目を閉じて、再び目を開けた時…
ベッド脇のテーブルにケータイの充電器を見つけた。
もしかしたら…
電波が届かないんじゃなくて、電池切れ?
コンセントに差し込まれたままのプラグを抜きながらまた一つため息をつく。
「浅井さんのばか…」
そんな独り言をもらした瞬間…
…PULL…PULL…
みのりのケータイが鳴った。
慌ててディスプレイを確認すると、そこには『公衆電話』の文字。
「もしもし?」
『あ、オレ。
仕事終わった?』
ケータイから聞こえてきたいつも通りの浅井の声に、一気に気が抜けるのが分かった。
『ケータイの充電器忘れてさ、しかもちょうど電池切れちゃって(笑)』
「…知ってる。
ケータイ掛けたのに繋がらなかったもん」
手に持っていたままのプラグをテーブルの上に置いてから、再びベッドに座る。
浅井の電話の向こうからがやがやとした声が聞こえてきて、少し聞き取りにくい浅井の声にケータイを耳に押し付けた。
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