オマケ集。
「もう前みたいには、走れないんじゃない?」
「は?」
前後を無視して、呟いてみた。
さっきとりあげた煙草を見せると、
それでも亮介は不可解そうな顔をする。
「すぐ、息が切れるでしょう?
あんなにかけっこ、速かったのに。
ちびっちゃいくせに、遼平君についてってた。」
亮介の顔が、苦々しく歪む。
それを見て、
苦笑するしかなかった。
喧嘩を売るつもりは、
なかったんだけど。
でも本人のいないところで悪口を言うのは、
フェアじゃない。
私は絶対的に、
遼平君の味方だ。
「・・・べつに、
やめてもいいけど。」
てっきり怒鳴り散らされるかと身構えていたら
思いのほか小さな声で、
聞き逃す所だった。
「なにを?煙草?
それとも、非行?」
「・・・全部。」
遼平に対するもの、全部
口に出して
そう言ったのかどうか、
確かには
思い出せないけれど、
はっきりとそう、頭の中で響いた。
不思議と
吸い込まれてしまいそうな気持ちになる亮介の瞳が、
じっと私の心を探る。
逸らさないようみつめ返した。
そんなことしても、
なにもでてこないよ。
心の片隅でざわめく何かを、
奥歯で噛み殺す。
・・・大丈夫、
揺るいだりしない。
私は絶対的に、
遼平君の味方だ。