オマケ集。
【エイプリルフール】
気がつくと、
私は誰もいない教室にいた。
その教室に私の席は見あたらなくて、
なんで自分がここにいるのか、
自分はさっきまで何をしていたのか、
思い出せずに教卓の前で立ち尽くして、辺りを見回す。
ガラッと後ろのドアが開く音に驚いて、
振り返るとそこに、
高校の制服を着た男子生徒が立っていた。
その顔を見て、私は更に驚く。
気持ち身をかがめて、くぐり抜けるように
教室に入ってくる長身の彼は―――
「あれ?琴子ちゃんだ。」
遼平君だ。
え、なんで教室に、なんで高校生なの?
びっくりして声も出せずに目を丸くしていると、
親しげに近づいてきた彼は、目の前に立って私を見下ろす。
「えー、すごい、面白い。高校生だ。」
そういう彼も、確かに高校生だ。
それに今の遼平君よりも確実に若い。
くるくると表情が変わって、
悪戯っぽく笑う口元は、まだあどけなくて、
うわー、わあー、こんな感じなんだあ・・・
・・・ん!?
私は高校生の時の遼平君を、
知ってたはずじゃないか。