雪の涙
暫く走ってから速度を落としていった。

「此処まで来れば暫くは大丈夫かな?」

たどり着いた場所 それは月島家の前だった。

「…なんで…此処に…?」

「それは…お前が…〜ッ無意識の…内に…帰りたいと…思うからだ…」

俺はするはず無い声に驚き振り返った。

俺は無我夢中で思いっきり走った。

陸上部にも勝つくらい足が速かった。

はずなのに…どうして……

「…親…父…?なんで…此処に…?」

「元…県大会…陸上…選手だからな…」

親父は荒い息だった。

「休めよ。ふらふらじゃん」

「あ…あぁ」

親父は階段に腰を下ろした。

「……親父…無理すんなよ」

俺はそう言って親父がいるのとは反対側の階段から逃げた。

「あっ!!おい!雅章!!」

親父が追いかけて来ていたが、明らかにこけた音がした。

「(すまねぇ、親父)今は戻ってられねぇんだ。あいつの事もあるし…」
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