雪の涙
「只今戻りました。組長は居ますか?」

「蒼龍…。帰って来たのか…。組長は居るぜ」

「サンキュー。ちょっと会ってくる」

蒼龍は親父の部屋の前に立った。

「組長。あいつ、不良と戦って意識不明で医者がこのままだと意識を取り戻さない可能性があるって。会ってくれませんか?」

「……馬鹿息子が…。面倒だが会いに行くか」

「有り難うございます。それでは案内します」


「此処が病室です」

ガラガラッ

「……」

「雅章?」

「…親……父…?」

「…お前大丈夫なのか?意識不明じゃなかったのか?」

「あぁ、奇跡的にさっき目を覚ましたんだ。そういえば親父、あいつらとは手を切ったぜ!!だから…帰っていいか?」

「…好きにしろ、馬鹿息子」

親父は素っ気なく背中を向けながら言った。

「…素直じゃねぇな、親父も」

「一緒にするな!」

親父は照れ臭そうに病室から出て行った。

「良かったですね」

「あぁ、蒼龍のおかけだ。ありがとな」

「いえ、そんな…とんでもない」

「そういう時は素直に有り難うございますだろ?」

仲間に叱られ、照れながら嬉しそうに…

「有り難うございます!!」

と、蒼龍は言った。

一方彩花は…


「あ!親父?調べてほしい事があるんだけど良い?あのさぁ、葛城君の元カノを調べてほしいの。そいつが邪魔でうまくいかないの。頼んだよ」

彩花は電話を切った。

「早くしないと……あいつらのせいであいつが…」

ブブッ ブブッ

ピッ

「はい」

『元カノの身元が分かった。西國 吹雪だ。潰すなら早目にしろ。そいつは葛城の見合い相手だ』

「有り難う親父。潰しとくよ。じゃあね」

プツッ

「許せない…。西國 吹雪…必ず、再起不能にしてる…!!」
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