MEMORY-君と過ごした夏-
「…ナオは、頑張ったと思うよ?」
道路に転がっている石を蹴りながら、シロが呟いた。
頑張った、って…
それだけじゃ…ダメじゃない…
「確かにアカネさんの苦しみが癒えるわけじゃない
でも、少なからず救われたと思う」
それだけじゃ…ダメなんだってば…
少なからず…じゃ…
いつでも笑っていてほしいのに…
「…これ以上なにかしようってのは…ただの同情じゃない?」
「…え…?」
ただの…同情?
「二年経っても消えない傷を、ナオが一人で治そうとするなんて…無理だよ
いや、誰にも出来ないことなんだよ
それはもう…アカネさん自身の問題だ
ナオに出来ることは…背中を押すだけ
アカネさんは、ナオに背中を押してもらった
だから後は…アカネさんの問題だ
ここでナオがしゃしゃり出ても…出来ることはないよ」