MEMORY-君と過ごした夏-
「…ナオは、ほんとに優しいね」
シロが、顔を覗き込むようにして私を見た。
目の前で微笑むシロが、あまりにも優しげで。
私は頬を赤くして、目をそらした。
「そんなこと…ない」
「ううん、絶対そうだって
ナオは…優しいよ」
…そんなことない…
もう一度、そう言いたかったのに。
やっぱりシロが、澄んだ優しい瞳で私を見つめるから―――――
私は、なにも言えなかった。
なんで私のこと、優しいなんて言ってくれるの?
私は、優しくなんてないのに……
でも―――
シロに、優しく微笑まれるたび。
私の心は、音をたてて―――あたたかいものに包まれたような気持ちになるんだ。