MEMORY-君と過ごした夏-





「お久しぶり。クソビッチのさーかーきーさぁん?」


沸き起こるクスクスという笑い声。


…ああ…


めんどくさい。


こんなこと、よくある。

今も、昔も。


「アンタさあ、まだ男と遊び歩いてるんでしょ?」

「学校やめてまで身体売って何が楽しいわけ?」



―――こういう時は…


風景を、今自分が置かれている状況を、遠くから見て。

他人事として、状況が変わるのを待つのが一番楽だ。


反論なんてせずに…流される。


それが一番傷つかずに済む。


「なんとか言えよ!!」


肩を押されてよろめいた。

ああ…めんどくさい。


「あたし、アンタに彼氏奪われたことまだ忘れてないからね?!」


また肩を押された。


…彼氏奪われた…?


知らないわよ、そんなの。


向こうが私の顔だけ見て、勝手に惚れて…


それでなんで私がこんな目に合わなきゃいけないわけ?



…もう別に、どうでもいいんだけどさ。




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