MEMORY-君と過ごした夏-





「……ふざけんな」


小さな、小さな声。


隣に立つシロが、唇を噛み締めて、拳を握って…クラスメイトのことを睨み付けていた。


「ナオが…どんな思いで…」


でも、コイツらにシロの姿は見えない。

だからシロの声がコイツらに届くことはなくて。

私だけが…シロの叫びを聞いていた。


「ナオが、どんな思いで今日を…今までを……


生きてきたかわかってんのか!!」



シロ……



クラスメイト達は、私に好きなだけ暴言を吐くと、笑いながら私から離れて行った。


残った私とシロも、会計を済ませると、日差しの照りつける外へと歩き出した。


私もシロも、無言だった。






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