MEMORY-君と過ごした夏-
「……ナオ」
彼が私の名前を呼んだ、次の瞬間――――
シロは私のことを後ろから抱き締めた。
「…シロ……ッ?!」
その腕は、とても力強いのに、シロの身体は…ひんやり冷たい。
こういうとこ、幽霊なんだなあ…って実感させられる。
でも今は…そんな場合じゃない。
「ちょ…どうしたの?シロ…」
シロは私を抱きしめている腕の力を少し強くして、呟いた。
「そんなこと…言わないで」
私、なにも言えなかった。
だって、シロの声が…
シロが、今にも泣きそうな声をしていたから。