MEMORY-君と過ごした夏-
助けてよ
「君が奈央ちゃん?噂通りほんとに可愛いねぇ」
優也の言ってた通り、私は男子によく絡まれるようになった。
なんで…こんなことになっちゃったのかな。
私はこんなこと、望んでないのに。
「すみません、私急いでるんで」
朝、下駄箱で話しかけてきた男子生徒を顔も見ずにあしらいながら、教室に向かって歩き出した。
「そんなこと言わずにさぁ、今日の放課後、遊ばない?」
「すみません、今日は用事があるので」
…しつこい。
教室についてしまった。
こんなとこクラスの女子に見られたら…なんて思われるか。
まあ、もともと良くは思われてないけど。
「失礼します」
「あ、ちょっと!奈央ちゃん!」
教室の扉を勢い良く閉めて、教室を見渡した。
全員…私を見ていた。
目が合いそうになるとそらす人もいれば、睨んでくる人もいる。
……もう、やだ。