MEMORY-君と過ごした夏-





「…いや、私も忘れちゃって…」


そう言って頬を掻くと、シロは「そっか」と微笑んだ。


「花咲けば、なんて名前かわかるよね」

「うん」


…この花が咲くとき、私はシロと一緒にいられるのかな。


ほんのすこし怖くなって、瞳を閉じた。





――そのとき――







「ダメじゃん、女の子がこんな夜に一人でいちゃ」



背後から聞き覚えのある声がして、勢いよく振り返った。





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