MEMORY-君と過ごした夏-
私の叫び声にも止まることなく、優也は歩き続ける。
先輩が、優也に向けて走りだし、拳を振り上げた――――
「優也ッッッ!!」
優也は―――
先輩の拳を軽くかわすと、バランスを崩した先輩の背中を思い切り蹴飛ばした。
勢いよく地面に叩きつけられる先輩。
ショウタが隣で息を飲む音がした。
「テ…メェッ!ふざけんな!!」
立ち上がった途端、先輩はもう一度拳を振り上げる。
優也はその拳を受け止めて、思い切りひねった。
「…ッ!!」
「…奈央を殴ったのはどっちだ」
…え?
その言葉に驚いて、優也を見る。
優也は冷たい目で先輩を見下していた。
「奈央の頬を殴ったのはどっちだって聞いてんだ」
「優…也…?」