MEMORY-君と過ごした夏-
雨
ガンッ!!と、私は背後にあったゴミ箱と共に吹っ飛ばされた。
…もう何時間殴られているんだろう。
もしかしたら、30分も経ってないかもしれないけど。
「ねえ、そろそろやめないとやばくない?
コイツ、高校生でしょ?」
高校なんてとっくの昔に中退した。
朦朧とする意識の中、そんなどうでも良いことを考える。
私にケンジを奪われた女は舌打ちをして、地面に転がっている私を見下ろすと口を開いた。
「…今度同じことしたら、次は…どうなるかわかってるわよね?」
今、私はどんな顔をしているんだろう。
女は不敵に笑うと、
「まあ、もう同じことなんて出来ないでしょうけど」
と言い放って、他の女達を連れて路地裏から出ていった。
私は一人、取り残された。