MEMORY-君と過ごした夏-
赤く染まった優也の身体を抱きしめて、必死に、必死に…叫ぶ。
ふと、優也が私の頬に震える手を添えた。
優也の口が、小さく開いて―――
「よかっ…た」
…よかった…?
「なんで…なんでよ…なんで私なんかかばったのよおぉ!!!!」
大切な人が傷つくぐらいなら…
自分が傷ついたほうが、よっぽどマシだ。
優也は、優しく微笑んで、そして――――
「―――奈央、が、好き…だから」
そう言って、瞳を閉じた。
私の頬に添えられていた手も、パタリ、と…落ちた。