MEMORY-君と過ごした夏-
「どういう…こと…?」
困惑気味に聞き返す優也のお母さん。
私もわからなくて、茜さんの次の言葉を待った。
「…優也の中で、蒼太の…弟の死はもう、終わったことなのか、ってことです」
そう言う茜さんの瞳は、とても…冷たくて。
思わず私は息を呑んだ。
「それは…そうでしょう…?もう二年も前の話なんだから……!」
「二年、も……?」
優也のお母さんの言葉に、茜さんは―――
自嘲気味に、笑った。
「二年も経っているのに…
蒼太の夢を毎晩みる私は…おかしいですか?」