MEMORY-君と過ごした夏-
そう言って、もっと深々と頭を下げる。
殴られても蹴られてもしょうがない。
でも…優也には本当に感謝してるんだ。
だからせめて…これだけは言いたくて。
―――…沈黙が続いた。
恐る恐る、顔を上げると、優也のお母さんは―――…
唇を噛み締めて、ただ静かに、涙を流していた。
「奈央ちゃんは…卑怯ね」
「え…?」
「そんなことを言われて、あなたに怒りをぶつけられるわけがないじゃない」
私をひと睨みすると、優也のお母さんはうつむいた。
そのとき――――――