MEMORY-君と過ごした夏-
深々と頭を下げると「やめろよそんなの」と、焦ったような声が降ってきた。
「…俺は、奈央のこと守れて、良かったって思ってるんだからさ」
…あ…
ゆっくりと顔を上げて、優也を見る。
優也もまっすぐに、私の瞳を見つめていた。
「俺、奈央のことずっと好きだった
誰よりも…蒼太よりも長い間、好きだった」
…私、そんなこと知らなかった。
誰よりも近くにいたのに…気づかなかったんだ。
「返事はいつでもいい
だから…考えといてくれ」