MEMORY-君と過ごした夏-
そう言って昨日みたいに深々と頭を下げる。
でも、優也は何も言わなかった。
「……やめてくれよ、俺が惨めになるだろ」
しばらくしてから、小さな声が聞こえて…
顔を上げると、優也は自嘲気味に笑っていた。
「…やっぱりお前…まだ、蒼太のこと…」
「ちがっ…そんなつもりじゃ…」
「悪い、今日はもう帰ってくれ」
突き放したようなその声に、心臓がズキン、と音を立てた。
…しょうがないよ。
私…優也を傷つけた。
帰ろうと、優也に背を向けて扉に手をかける。
すると、優也が…
「もうすぐ退院だから、明日から来なくていい」
そう声をかけてきた。
私は…唇を噛み締めて、病室を出た。