MEMORY-君と過ごした夏-





シロはそう言うと、両手を広げた。

その顔は、少しだけさみしそうに…微笑んでいて。


「な…に言って…」

「僕の前じゃん。我慢しなくていいんだよ?」


意味、わかんない…



その呟きが声になる前に、


私はシロの腕の中に飛び込んでいた。





「うッ…ぁ…怖…かった……怖かった……!」

「…うん」

「…ぅ…ッ…怖かったよ…ぉ…うぐ…ひッ…」


今も震えが止まらない。


優也に、あんなことされるなんて思ってなくて。

あんなに…力が強いと思わなくて。


首筋がチリチリと痛い。

痛くて痛くて、シロの腕の中で泣き続けた。




< 200 / 237 >

この作品をシェア

pagetop