MEMORY-君と過ごした夏-
シロはそう言うと、両手を広げた。
その顔は、少しだけさみしそうに…微笑んでいて。
「な…に言って…」
「僕の前じゃん。我慢しなくていいんだよ?」
意味、わかんない…
その呟きが声になる前に、
私はシロの腕の中に飛び込んでいた。
「うッ…ぁ…怖…かった……怖かった……!」
「…うん」
「…ぅ…ッ…怖かったよ…ぉ…うぐ…ひッ…」
今も震えが止まらない。
優也に、あんなことされるなんて思ってなくて。
あんなに…力が強いと思わなくて。
首筋がチリチリと痛い。
痛くて痛くて、シロの腕の中で泣き続けた。