MEMORY-君と過ごした夏-
赤い傘がゆらゆら揺れて、私達を包んでいる。
やっぱり、そっくりだ。
この赤い傘も
香りも
身体も
顔も
声も
笑顔も
ただ一つ、服を除いては。
彼は、真っ白な服を着ていた。
シミもシワもボタンも、何一つない。
真っ白な服。
いつの間にか、家の前に着いていた。
「…ありがとう、送ってくれて」
「いや、お大事に」
微笑んで私に背を向ける彼。
私はその背中を見つめていた。
あの、大きな背中。
蒼太とそっくりな―――…