MEMORY-君と過ごした夏-
「ねえっ!!」
気づいたら、喉から声が飛び出していた。
彼は振り向いた。
悲しそうな微笑みを浮かべたまま。
「明日も…会えない?」
このまま別れてしまうのが怖かった。
赤い傘を持って笑う彼が、どうしても…『あの日』の蒼太に見えたから。
彼は少し考えて、頷いた。
みるみるうちに自分の頬が赤く染まるのがわかる。
嬉しい。
ただただ、嬉しかった。
もう少し…もう少しだけ…
夢を、見たいんだ。