MEMORY-君と過ごした夏-
昨日私が殴った頬はもうすっかり治っている。
それに少しホッとして、でも…そんなこと言えるはずがないから、また舌打ちをした。
「お前…挨拶が舌打ちってどういうことだよ」
「クセなの」
イライラして頭を掻いていると、優也が私の顔をじっと見ていることに気がついた。
「…なによ」
「お前…ケンカした?」
優也の言葉に、自分の身体を見下ろす。
Tシャツから覗く腕には、青いアザがたくさん出来ていた。
…昨日のアレか。
「…まあ色々あって」
正直、昨日のことはあんまり話したくない。
さすが幼なじみというか…優也もそれ以上は詮索しようとはしなかった。