MEMORY-君と過ごした夏-
優也と目を合わせたくなくて、自分の足を見つめていたら、優也が小さく息を吐いた。
「昨日、蒼太の墓で…茜さんに会ったよ」
その言葉に思わず、顔を上げる。
優也と目が合った。
『茜さん』
蒼太の…お姉さんだ。
「髪、黒くなってた」
なぜか、ズン、と胸が重くなった気がした。
茜さん、二年前は金髪だった。
染めたんだ…
「もうさ、別人みたいで俺…ちょっと笑っちゃったよ」
そう言ってる優也の顔には、笑みなんて浮かんでなくて。
私はまた、うつむいた。
茜さん…
二年前は、金髪で、メイクとかすごくて。
家に帰ってくるのは一週間に1、2回とかそんな人だった。
私の知ってる茜さんじゃもう…ないんだ。